
「普通車の廃車手続きをしたいけど、どうしたらいいのかな」とお悩みではありませんか?
廃車手続きは、ディーラ―など車屋が行うイメージがありますが、実は自分で手続きすることもできるのです。
業者に依頼するか、自分で行うかによって、必要となる費用は異なります。また、自分で廃車手続きする場合、自分で必要書類を集めたり運輸局で手続きしたりする必要があるため、必要な費用や書類について知っておく必要があるでしょう。
今回の記事では、「普通車の廃車手続きに必要な書類や費用」、廃車手続きの流れについてご紹介します。
愛車をしばらく使う予定がない方や、廃車を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
自分で廃車手続きをするデメリット
自分で廃車手続きをするデメリットは、次の4つです。
自分で廃車手続きすると、何となく費用が抑えられそうですが、実は想像より費用が高くなってしまう場合もあります。
また、廃車手続きは陸運局(運輸局)で行う必要があるため、手間がかかるといえます。
自分で廃車手続きするデメリットについて、ひとつずつ詳しくお伝えしていきます。
必要書類や廃車手続きの手順が難しい
廃車手続きに必要な書類や手順は複雑で、自分で手続きすることが難しいと言えます。
自動車の廃車手続きには、一時的に抹消する「一時抹消登録」と、解体して永久に登録を抹消する「永久抹消登録」の2つがあります。
たとえば永久抹消登録の場合、次のような手続きを自分で行わなければいけません。
- 解体業者に車の解体を依頼
- 必要書類を入手(印鑑証明書や、解体通知日などを確認する、など)
- ナンバープレートを運輸局へ返却
- 永久抹消登録申請書など書類一式を提出
- 自動車税の還付手続き
- 自動車重量税の還付手続き
- 自賠責保険の還付手続き
廃車手続きにはたくさんの過程があり、手順に従って行わなければいけません。また、必要書類も多く、初めて廃車手続きを行う人にとっては、手続きが煩雑で難しいと感じるでしょう。
陸運局は平日のみの対応
普通車の手続きを行う陸運局(運輸局)は、平日のみの対応のため、平日仕事をしている人には厳しい条件です。また、午前9時から午後4時までしか受け付けてもらえない場合が多いですし、廃車手続きには半日はかかると思っておいたほうがいいでしょう。
わざわざ平日に仕事の休暇をとって、陸運局の複数の窓口を行ったり来たりするなら、自分で廃車手続きしたくないと感じるかもしれません。
費用がかかる
自分で廃車手続きすると、車を解体するための費用がかかるデメリットがあります。
廃車するには、スクラップ業者やリサイクル業者などに車を解体してもらう費用として1万円~5万円程度かかると考えておくといいでしょう。
なお、廃車買取業者に廃車を依頼する場合、スクラップを有効資源として活用したり中古パーツとして解体したりするため、値段をつけて車両を買い取ってくれる場合もあります。
値段がつかなくても、スクラップの代金を廃車費用から差し引いてくれるでしょう。
還付金を即日受け取れないことも
自分で廃車手続きすると、還付金を即日受け取れません。
業者に廃車手続きを代行してもらうと、業者によっては還付金を立て替え、車の所有者へ返金してくれる場合があります。
自分で手続きする場合は、基本的に銀行口座への振込や、指定した金融機関での受領となります。自動車税や重量税などの還付金は、即日受け取れないと考えておきましょう。
普通自動車の廃車手続き|永久抹消登録する場合
普通自動車を永久抹消登録する場合、次のような廃車手続きが必要です。永久抹消登録とは、自動車を解体して二度と乗れなくする手続きのことを言います。
普通自動車を永久抹消登録する場合の流れ
普通自動車を永久抹消登録する場合、運輸局で次のような手続きを行います。
- スクラップ業者、リサイクル業者などに依頼
- 申請書の記入、確認
スクラップ業者、リサイクル業者などに依頼して、車両を解体してもらう
リサイクル券に書かれている「移動報告番号」、車両の解体が完了したと報告を受けた際 に業者から伝えられる「解体報告記録がなされた日」をメモに残しておきます。
業者にナンバープレート2枚を残してもらうよう伝えておきましょう。
印鑑登録証明書(3か月以内に発行したもの)、実印、車検証、前後のナンバープレート2枚、メモ書きを持って運輸局へ出向く
申請書の記入、確認
手数料納付書(ナンバープレートを返却して確認印を受けます)
永久抹消登録申請書および解体届出書
自動車税申告書(自動車税の還付がある場合に必要です。申告書不要の地域もあります。)
重量税の還付がある場合(車検が1か月以上残っている場合)
マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードなど)
還付金を振り込む金融機関の情報
※永久抹消登録と同時に、重量税の還付手続きを行わなければいけません。
自賠責保険の還付がある場合
契約している保険会社に連絡して、還付の手続きを行います。
必要な書類
永久抹消登録を行ったことを証明する登録事項等証明書(陸運局で申請して受け取ります)
自賠責保険証の原本
認め印
還付金を振り込む金融機関の情報
普通自動車の廃車手続き|一時抹消登録する場合
普通自動車を一時抹消登録する場合、次のような手続きが必要です。
一時抹消登録とは、車を解体せずに、車の登録をあくまで一時的に抹消しておく手続きのことを言います。
一時抹消登録する場合、運輸局で次のような手続きを行います。
事前に普通車の前後のナンバープレートを外す
車検証、印鑑登録証明書(3か月以内に発行したもの)、実印、ナンバープレート2枚、手数料350円、申請書の購入費(数十円程度)を持って、運輸局へ出向く
申請書の記入、確認
手数料納付書(ナンバープレートを返却して確認印を受けます)
一時抹消登録申請書
自動車税申告書(自動車税の還付がある場合に必要です。申告書不要の地域もあります。)
自賠責保険の還付がある場合
契約している保険会社に連絡して、還付の手続きを行います。保険会社によっては、郵送で還付金を請求できる場合もあります。
- 自動車損害賠償責任保険承認請求書
- 一時抹消登録を行ったことを証明する登録識別情報等通知書
- 運輸局で一時抹消登録後に受け取ります。
- 自賠責保険証の原本
- 認め印
- 還付金を振り込む金融機関情報
一時抹消登録申請や解体届出に必要な書類
一時抹消登録申請や解体届出に必要な書類は、次の通りです。
- 一時抹消登録申請の場合
- 車検証
- 印鑑登録証明書(3か月以内に発行したもの)
- 実印
- ナンバープレート2枚
- 手数料350円、各種申請書の購入費(数十円程度)
- 自動車税の還付がある場合、還付金を振り込む金融機関情報
- 陸運局で受領する各種申請書
※自賠責保険料の還付は、保険会社に後日申請します。
解体届出
解体届出とは、一時抹消登録した車両を廃車処分するときに行う手続きのことです。まずはスクラップ業者、リサイクル業者などに依頼して、車両を適切に解体してもらう必要があります。その後、陸運局で解体届出を行います。
解体届出に必要な書類は次のとおりです。
- 登録識別情報等通知書
- リサイクル券に書かれている「移動報告番号」、車両の解体が完了したと報告を受けた際 に業者から伝えられる「解体報告記録がなされた日」のメモ
重量税の還付がある場合(車検が1か月以上残っている場合)
- マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードなど)
- 還付金を振り込む金融機関の情報
※解体届出と同時に行わなければいけません。
追加書類が必要となるケース
普通車の廃車手続きで、追加書類が必要となるケースをご紹介していきます。
- 所有者の印鑑証明や車検証の住所、氏名の情報が異なる場合
- 所有者が未婚の未成年の場合
- 車の所有者がローン会社や法人の場合
- 所有者がお亡くなりの場合
このようなケースでは、追加書類の提出や手続きを求められるため、廃車手続きに時間がかかる場合がありますので注意しましょう。
所有者の印鑑証明や車検証の住所・氏名の情報が異なる場合
印鑑登録証明書や車検証に記載している情報が古い場合、変更したことが確認できる住民票や戸籍の提出を求められます。
たとえば、車検証の住所が旧住所であれば、住民票で旧住所と新住所が確認できなければいけません。複数回引越した場合は、車検証の住所から現住所までの変更が確認できる書類が必要です。戸籍の附表であれば、その戸籍が作られてから現在までの住民票の異動履歴が確認できます。
所有者が未婚の未成年の場合
所有者が未婚の未成年の場合、所有者だけで廃車手続きはできません。未婚の未成年の場合、不動産売買などの重要な手続きでは、親権者の同意が必要とされているからです。
所有者が未婚の未成年の場合、自動車の廃車にあたっては、次の書類の提出が求められるでしょう。
- 親権者の同意書
- 親権者の印鑑登録証明書
- 親権者の戸籍謄本
親権者の同意書は、陸運局のホームページでダウンロードできます。
車の所有者がローン会社や法人の場合
車の所有者が、ローン会社や、ディーラーなどの法人名義の場合、使用者が勝手に廃車手続きを行うことはできません。
すでにローンを完済しているときは、所有権をローン会社から所有者本人へ移す手続きが必要です。ローン会社やディーラーに相談してください。
ローンを完済していない場合、車の所有者を移すことは難しいでしょう。ローンの残債を繰り上げて返済するなどの対応が必要となります。
まずは所有者となっているローン会社や法人に相談してみましょう。
所有者がお亡くなりの場合
所有者がお亡くなりになっている場合、廃車する車の相続手続きが必要となります。
たとえば、相続人ひとりが単独で車を相続する場合、次の書類を求められるでしょう。
- 所有者の死亡が確認でき、相続人全員の記載がある戸籍謄本または除籍謄本
- 車を相続する新所有者の印鑑登録証明書
- 車を相続する新所有者の実印
- 遺産分割協議書(相続人全員の署名、実印による押印が必要)
相続関係が複雑であったり、廃車する車両を相続人複数が共同名義にする場合などは、追加で書類を求められる場合があります。事前に陸運局へ問い合わせるといいでしょう。
【普通車】廃車手続きのよくある質問
普通車の廃車手続きで、よくある質問をまとめました。所有している車を廃車しようと考えている方は、是非参考にしてみてください。
なお、軽自動車の場合は、普通車の廃車手続きと異なる場合が多いので注意してください。
自動車税が未納であっても、廃車の手続きを行うことができます。必要書類や手続き方法は、すでにお伝えした一時抹消登録や永久抹消登録の流れと同じです。
ただし、2年以上にわたって自動車税を滞納している場合は、注意が必要です。2年以上滞納が続くと、自動車が差し押さえられている状態である「嘱託保存」となり、廃車処分できなくなります。嘱託保存を解除するには、滞納している自動車税を支払う必要があります。
なお、自動車税が未納でも廃車手続きを行うことはできますが、滞納した自動車税を支払わなくていいわけではありません。廃車手続き後に自動車税事務所から未払い分の自動車税の納付書が届きます。納付書が届いた後も支払わずに放置していると、財産の差し押さえが行われる可能性があります。無視せずに支払を行いましょう。
ローンの残高が残っている場合、車の所有者はローン会社ですので基本的に廃車処分できません。廃車の手続きを行うことができるのは、車の所有者のみだからです。
所有者名義を変更するには、基本的にはローンを完済する必要があります。ローンがいくら残っているのか、繰り上げ返済などについて、ローン会社やディーラーに相談してみましょう。
普通車の廃車にあたっては、車検証が必要です。車検証を紛失してしまった場合、陸運局で車検証の再交付申請を行いましょう。
免許証など本人確認ができる書類と、認め印、再交付手数料300円を準備し、陸運局で手続きします。なお、車の所有者以外が再交付の手続きを行う場合、委任状が必要となるので注意しましょう。
結婚や離婚で名前が分かっていても、廃車の手続きを行えます。ただし、通常の必要書類にあわせて、結婚や離婚など、苗字が変わったことが確認できる戸籍の提出を求められます。
また、結婚や離婚などで住所も変更している場合、追加書類として住民票の提出が求められるでしょう。
リサイクル券がなくても、車のリサイクル料金を支払っていることが確認できれば廃車の手続きが可能です。
リサイクル券とは、廃車処分にあたって必要となる費用を、車両購入時に支払ったことを証明するための書類のことをいいます。リサイクル券を再発行することはできませんので、リサイクル費用を支払っていることの証明書類をホームページから印刷しましょう。
「自動車リサイクルシステム」のホームページからリサイクル料金のページを開き、車検証を確認しながら必要事項を入力していきます。
リサイクル料金を支払っている場合は「預託済み」と書かれているので、「リサイクル券の預託状況」のPDFデータを印刷することで、リサイクル券の代わりとして利用できます。
車検証の所有者がディーラーの場合、基本的に使用者が廃車することはできません。
廃車することができるのは、車の所有者だけだからです。
ディーラーが所有者の場合、車をローンで購入したケースがほとんどです。ローンを完済している場合、所有権をディーラーから本人へ移すことで廃車の手続きを行うことができるようになります。まだローンを返済中の場合、所有者を変更することは難しいでしょう。
まずはローンの残債について確認し、完済できるかどうか検討しましょう。